アワシャーレの4人
©illustrated by Mai.
Sasha:日本の大学に通いながらアワシャーレでインターンをしている。オーストラリア出身。
Mai:長年アワシャーレのインターンだったが、就活を終えて今年春から社会人になる。
Maria:就職活動中の大学生であり、現在オンラインでアワシャーレのインターン生。
Miho:アワシャーレの社員。他の企業での経験もあり。
コロナ渦就活で苦労している留学生:怒りと疑問
新型コロナウィルスで外国人採用枠が縮小されたり、就活中の留学生のサポートがなくなったりしている上に、日本語を母語としない留学生が企業に高い日本語力を求められている現状があるという。それを明かしている記事を読んだアワシャーレの全員が驚き、勢いよくディスカッションを進めた。
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⇒ 就活に苦しむ外国人留学生 日本語の壁、いっそう厚く
まず、矛盾が多いと感じた!実は、今までの留学生はコミュニケーションが取れ、他の能力や技術で補えば、企業に採用されると言われてきた。だから、コロナで状況がガラッと変わるのがフェアじゃないと思う。
そうね。
コロナのせいで留学生向けの対面就活セミナーやサポートがオンラインにならなかったことも本当にひどいと思った。
就活の情報提供や準備、または対策のほとんどは日本人向けなので、日本語を母語としない、日本人じゃない留学生は本当に大変だよね。
大学の方は色々と大変だったと分かっているけど、日本人の就活生が同じ扱いをされていたかは疑問に思う。それから、母国のオーストラリアに留学生が差別されたり、支援をもらえなかったりしたという問題もあったけど、場所はどこであれ、異国にいる人のサポートは非常に重要じゃない?
日本人にとって就活は難しいのに、外国人留学生にとってハードルがさらに高くなるだろうね。
どうすればよかったんだろう。
企業が「就活生をとります」と宣言するなら、外国人を含めて適切な考慮をすべきだと思う。実際に、文化や考え方の違いによって留学生が就活で戸惑ったり、苦労したりするだろうし、日本語を流暢に話せない学生に対して、日本企業がお金を惜しまず、教育を提供するべきなんじゃないかな。
本当にその通り!あと、ちょっと深掘りしたいところがある。「留学生」という言葉を使う時に「アメリカ人」とか「西洋の人」のイメージが多いよね?だけど、実際に日本で就活をする外国人の中で、アジア人が大半を占めているそうなので、現状の捉え方がちょっと変わってくるかもしれない。
そうだったのね。確かに西洋ではハーバードといった世界的に有名な大学の方がネームバリューを持っているけど、東南アジアなどでは日本がより大きな存在みたいだね。
日本で就職して、母国より高い給料で仕送りしたり、将来的に国に帰って日本で身につけた技術を活かしたりすることも多いので、外国人留学生の人種の割合がアジアに偏っている理由が見えてくる。ステータスがあるとも言えるし。
その背景が分かるから納得できるけど、企業の留学生に対する「高望み」の背景が分かるのに、納得し難いんだよね。正直、それを聞いた時に心が痛んだ。それから、就職活動なんだけど、実は私はそれを疑問に思っている。
というのは?
外国人だけではなく、日本人も最初に面接の遠回りの質問などの答え方が分からないってこと。ただ、就活にはワンパターンが多く、一番上手く自分の情報を企業の型にはめる人が受かるって感じ。そしてね、何よりも個性を発揮する機会がないの。だけど、外国人にも日本人にもその機会を与えることは非常に重要だと思う。
学生の頃はどちらかと言えば協調性が重視されていたのに、就活を始めた途端、エントリーシートでは「個性を出せ」と言われて、結構混乱した。でも回を重ねていくと、型どおりの質問と「エントリーシートに書いている以外で頑張ったことは?」みたいな少し想像すれば準備できる質問への対応は自然とできてしまう。
確かにどうすればいいか、分からなくなってしまいそう。少なくとも西洋には「スポット採用」があり、自分のスキルや資格に合わせた仕事に応募する就活スタイルがあるけど、日本には個人が磨いてきた能力とかはそんなに重視されていないみたい。良くも悪くも、企業に入ってから、仕事に合わせた研修を受けて育てられるもんね。
そこで、企業が何を見て新入社員を選んでいるか、日本人の学生にさえ理解しにくいので、留学生にはもっと難しいだろうね。企業ごとに違う判断軸があるから就活は企業とのご縁だと思うけど、今の日本の就活のプロセス自体はどうかなと思っていた。
それに、外国人を採用することによって企業にダイバーシティが自然と増えるし、新たなアイディアやコミュニケーションに気づけるかもしれないね。
そうでしょう?だから、企業が高望みをすることはもったいないよね。もう少し擦り寄る必要があるじゃないかな。
言語力がなくても、他の技術や能力で補い、最終的に企業の大事な一員になれるという話も出て、言語能力だけではないという気づきがあった。それから、マリアから「なぜ多くの外国人がサービス業界や空港会社で就職するだろう」という質問もあった。最終的に結論に至らなかったが、ネット検索やサーシャの考察に基づいて、こういった業界には外国語を重視したり、海外進出を行ったりしている企業が多く、多言語力や国際的な視点を活かせる機会も多いため、外国人従業員が多くみられるのではないかという意見が上がった。