アワシャーレの5人
サ:[サーシャ]オーストラリア出身の大学生
ま:[まい]IT企業で働く社会人1年生
み:[みほ]留学休止で日本滞在中
マ:[マリア]夢に向かって勉強中の大学生
な:[ななえ]働きながら勉強中
ジェンダーのグレーゾーン
な:ちなみに、日本で自分の性的自認に沿って戸籍を変えたいなら、性転換をしなければ法律的に認められないそうだよ。
マ:すごくお金かかりそう。
な:お金がかかるし、体質的に無理な場合もあって、変えたくても変えられない人がいるの。
み:それって具体的にどうなるの?
な:性的自認と実際の性別が異なるけど、社会には「身体は男または女で、ヘテロセクシャルでシスジェンダーであるべき」という前提もある。
マ:つまり、ずっと他の人からの視線や書類上との不一致を耐えるってことか。
ま:戸籍は本当に要らないな。
な:でも、今は管理職率などで女性の比率がすごく気にされているじゃない?性別欄をなくしたら、比率や統計をどう拾えるだろうね。
マ:自己申告にしたらどう?
ま:性別欄に「女性・男性・その他」を入れたりとか。
み:「女性とは?男性とは?」という問題が出てきそう。
サ:あと、日本で「ジェンダー・ダイバーシティ」を言うと、女性活躍のイメージが強いけど、海外だと、LGBTQ+が含まれる。
な:「女性の割合」より、女性やLGBTQ+の人を含めた「多様性の割合」の方がいいかもしれない。
み:多様性を取り入れる必要性を勉強したり、頭で分かったりするけど、現実は違うね…
ま:学生の頃は性別と関係なく、相性が良ければ「遊ぼう!」ってなったけど、会社に入ると、男女が分かれたりするし。
み:日本はなんなんだろって最近感じるよね。
今時の職場事情
ま:知り合いの話、髪を明るく染めてたら先輩に「損するよ」と言われたらしい。
み:髪色が明るいと仕事で損をするってこと?
ま:先輩がいうには、自分も20年前に髪色は仕事と関係ないと思ったけど、現実は違ったんだって。この話を聞いて、「20年後には自分もそんな風に考えるようになるのかな」と思ってしまった。
サ:つまり、会社のみんなは黒髪だからそれが普通になり、他のことを受け入れられなくなるということなんだ。
み:営業側から見ると、そちらの方がお客さんウケがいいから、「効率が良いバイアス」がかっているかもしれない。
な:私たちは商材で評価されていると思ったら、実はトータルで見られたりするからね。
マ:就活と一緒。見た目が評価されていると分かっているから、大多数がリクルートスーツを着て、髪の毛を暗い色に染めていく。
ま:「個性を見よう」、「多様性を受け入れよう」と言われている割に、同質性が好まれている。
み:私も似たような経験があるの。ジャケットを肩にかけて着てたら、「着るか脱ぐかどちらかにしてください」と言われた。
全員:え?!
み:頭の中で「なんでこんなことを言われなきゃいけないんだろ」と思ってたけど、駆け出しの頃だったし、これで関係が悪くなるのも嫌だなと思って忖度して終わらせてしまった。
知らなかった現実
サ:実は、同性愛者の知人で長年付き合っているパートナーがいるのね。その知人がずっと同じ会社で働いてきたけど、最近までは自分のセクシュアリティやパートナーのことを明かしていなかった。
み:その理由は?
サ:直接に聞いていないけど、今はある程度の地位やリスペクトを築いてきたから、安心してカミングアウトできたと思う。
な:安心・安全の環境を整えたってことね。
サ:一方で、新入社員や就活生にはそのサポート・ネットワークがないね。
な:確かに。カミングアウトをしたら、「もしかして、わたしのことを狙っているの?」と周りに誤解されるかもしれない。
ま:支えられたり、肯定されたりするどころか、居心地が悪くなってしまう。
マ:服装であれ、性的指向であれ、個人が安心して、自分らしくいられる居場所がすごく大事なんだね。